• 医師 小林正弘 による あざ・シミのレーザー治療 相談室

刺青(いれずみ)の除去について、教えてください。

刺青の除去には、いくつかの方法があります。

手術により切除する方法とレーザーにより除去する方法があります。

手術による方法、小さい刺青は、切除して縫縮することができます。刺青の大きさの2~3倍の長さの縫合跡が残ります。大きい刺青は、切除して他部位から皮膚を移植する植皮等を行います。手術による方法は、1回の治療で除去できますが、傷跡が残ります。傷跡の目立ちやすさは、個人差があり、きれいになることもありますが、目立ってしまうこともあります。傷跡が新たな問題となってしまうことがあります。刺青は、目立つ部位に入れている方も多いと思いますので、治療後の状態は重要です。

レーザーによる方法は、手術による傷跡を作らずに、刺青を除去することができます。ピコ秒レーザー等の新しい機器の開発により、治療回数は、以前より大幅に少なくなりましたが、それでも5~10回程度の繰り返しの治療が必要になります。刺青の色、インクの種類、色の深さにより除去できない場合もあります。治療後の状態は、レーザー治療によるものが優れています。

レーザー治療には色を破壊するレーザーを使用しますが、削るレーザーを併用する方法もあります。CO2(炭酸ガス)レーザー等を使用します。刺青の色素を、周囲の肌色の組織ごと削り取って、治療回数を減らそうというものです。直接、色素を除去する効果と、残っている色素へレーザーを到達しやすくする効果があります。削った分だけ皮膚は薄くなり、色素までの距離が短くなります。

皮膚を削るとき、浅く削れば、比較的きれいに治癒しますが、深く削るとやけどのような目立つ傷跡になってしまいます。深く削ることはお勧めしません。

どうしても刺青を期限までに除去したいという場合もあると思います。医療用のカバーメイクもありますので、カバーメイクで隠しながら、回数を重ねて除去していくということも検討されるのが良いと思います。

繰り返しになりますが、刺青は、目立つ部位に入れている方も多いと思いますので、治療後の状態は重要です。「傷跡の除去」は、「刺青の除去」よりも難しいです。