• 医師 小林正弘 による あざ・シミのレーザー治療 相談室

いちご状血管腫の統合治療について、教えて下さい。

乳児血管腫(いちご状血管腫)に対して、プロプラノロール内服治療とレーザー治療の統合治療が、行われるようになりました。

2016年、乳児血管腫治療薬プロプラノロールのシロップ製剤(商品名ヘマンジオルシロップ小児用)の製造販売が承認されました。

プロプラノロールは、以前からあった循環器系の治療薬で、高血圧、狭心症、不整脈等に使用されます。乳児血管腫を持つ患者さんに、循環器系の薬として投与されたことより、偶然に、乳児血管腫に効果があることが発見されました。

プロプラノロールの内服投与により、乳児血管腫は、著明に改善します。

作用機序は、明らかではありませんが、プロプラノロールの血管収縮作用、細胞増殖抑制作用、血管新生抑制作用などが関与すると考えられています。

内服薬ですが、循環器系の薬剤で、重篤な副作用を認めることがあり、厳重な管理の下、投薬する必要があります。空腹時を避けて経口投与し、患者の状態に応じて投与量を調節する必要があります。

臨床試験では、30%程度の患者に副作用が認められました。主な副作用には、末梢冷感、下痢、睡眠障害、悪夢などがあり、重大な副作用では、低血圧、そのほかの循環器系症状、低血糖、気管支痙攣などが報告されています。

副作用を認めるため、内服治療をするかどうかは、慎重に判断する必要があります。

下記がプロプラノロール内服治療の適応となります。

【絶対的適応】

内臓,声門部,気道,眼瞼,眼窩内に生じた乳児血管腫

潰瘍を形成した乳児血管腫

顔面の広範な乳児血管腫

増殖が急激な乳児血管腫

【相対的適応】(ご両親のご希望があれば投与を検討するもの)

腫瘤型の乳児血管腫

露出部にある乳児血管腫