• 医師 小林正弘 による あざ・シミのレーザー治療 相談室

ピコ秒レーザーは、従来のレーザーとどこが違いますか。

色素疾患(青あざ、茶あざ、黒あざ、シミ)治療用レーザー装置として、従来、「Qスイッチレーザー」というレーザーが使用されてきました。最近になり、「ピコ秒レーザー」と呼ばれるレーザーが開発されました。

レーザーは、照射時間の違いにより、反応が変化します。照射時間が、ピコ秒(10-9秒)単位のレーザーを「ピコ秒レーザー」と言います。「Qスイッチレーザー」の照射時間は、、ナノ秒(10-6秒)単位です。照射時間を短くして、ピークの照射出力を上げると、副作用の少ない皮膚の深くまで届く治療が可能となります。

「ピコ秒レーザー」は、従来のレーザーと比較して、副作用の原因となる皮下の空胞化形成(皮膚の下に空洞ができること)が少なく、痂皮(かさぶた)ができにくいため、従来と同等かそれ以上の効果のある治療が、少ない副作用、ダウンタイムで可能となっています。

また、専門的なお話になりますが、作用機序として、「Qスイッチレーザー」は、光熱作用(レーザーの熱によりあざを破壊する。)が主体でしたが、「ピコ秒レーザー」は、加えて、光音響作用(レーザーの力学的作用により破壊する。)が加わりました。光音響作用は、特に、刺青(いれずみ)の色素に強くはたらき、刺青(いれずみ)の治療効果が、飛躍的に向上しています。